設立趣旨
胃外科・術後障害研究会 会長ご挨拶
このたび本研究会会長を拝命いたしました瀬戸でございます。謹んでご挨拶申し上げます。会長として、武藤輝一先生、青木照明先生、北島政樹先生、愛甲孝先生、上西紀夫先生に次いで6代目となります。錚々たる先人の後を引き継がせていただくこと身に余る光栄であり、またその責任の重さも実感しております。微力とは存じますが、会のさらなる発展のため貢献できればと考えております。会員の皆様におかれましては、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
さて、本会の歴史は、迷切研究会に始まり胃外科研究会へと発展し、そして胃切除後障害研究会と一緒になって発足したものであります。迷切研究会・胃外科研究会は1972年に始まっており、胃術後障害研究会は1988年に、また統合されたのは1998年のことであります。ですので、40年以上の歴史を有する研究会であります。目的は、下部食道、胃および十二指腸の迷走神経切離を含めた手術全般と病態生理などに関する基礎的、臨床的諸問題を研究することであります。また、さらに胃手術後に発生する種々の障害の幅広い研究を促し、情報交換の場を提供することによって、胃手術患者のQuality of Lifeの向上に貢献することであります。それらの目的を達成するため、毎年1回の学術集会をおり、2015年の開催で第45回となりました。また様々な事業も行っており、最近では、上西紀夫先生が中心となり、大著「胃外科のすべて」を発刊されております。胃切除に関する名著であります。会員の皆様のみならず幅広い方々にも参考にしていただければと思います。「胃癌術後評価を考える」ワーキンググループからは胃術後QOLを総合的かつ的確に評価するためのPGSASが作成され、それがアプリや小冊子「胃を切った方の快適な食事と生活のために」に反映され、これも患者さんのみならず胃術後の患者さんと接するすべての職種の方々にも参考となること間違いありません。大いに活用していただきたいと思います。
National Clinical Databaseによると、全国で毎年5万人以上の方が、胃全摘もしくは幽門側切除をうけており、人口動態統計によれば、毎年残念ながらほぼ5万人の方が胃癌で命を落とされています。その方々の胃術後の障害やQOL低下をいかにおさえるかが本会の大きな使命であり、そのニードは益々高まっているものと思います。Billroth 先生が幽門側切除を、Schlatter先生が全摘を成功させてからほぼ130年経っていますが、胃手術の基本は変わっていないようにも思います。胃切除の術式を進歩させ、術前後QOLの維持を図れるような研究を進めていくのも本会の目的に合致するのではとも考えています。会員皆様のご支援なにとぞよろしくお願い申し上げます。
平成27年秋
胃外科・術後障害研究会
会長 瀬戸 泰之